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【書籍要約】一億三千万人のための『論語』教室|為政(いせい)

孔子のありがたい教えを学んでいると自分の至らなさに、情けない気持ちになってしまうのですが、ここは自分を戒めるつもりで読み進めます。気合を入れて読んではいるのですが、すぐに「そんなことぼくにはできっこない」ってなってしまう教えだらけなんですよね……。 

ありがたい本です!!

一億三千万人のための『論語』教室 (河出新書)

 著者

高橋源一郎*1

 

 

王様は徳で支配する

王様は権力で民を支配するのではなくて徳で支配をするのです。「徳」とは本来、人間ひとりひとりが持っている、正義や、美、他人を大切にしようと思う心です。

 

子曰く、政(まつりごと)を為すに徳を以(もっ)てす。譬(たと)えば北辰(ほくしん)の其所に居りて、衆星(しゅうせい)の之(これ)に共(むか)うが如きなり。

 

徳で民衆の心を掌握することに徹すれば北極星のように、周りに人が集まってくるし、万事、物事がうまくいきます。

ただし、政治家に徳を要求するだけではなく、われわれ一般人にも、やはり徳が必要と論語にはあります。

 

或るひと孔子に謂いて曰く、子は奚(なん)すれぞ政を為さざるや。子曰く、書に云う、孝なるか惟(こ)れ孝、兄弟に友なり、有政(ゆうせい)に施す、と。是れ亦た政を為すなり。奚すれぞ其れ政を為さずと為さんや。

 

孔子に「なぜ政治にたずさわらないのですか?」と聞いた人がいました。

孔子は「書経(しょきょう)」という本に子が親をいたわる、友達を大切にする、ということをみんながしていると、世の中がうまくいく、と書いて入ります。

政治というものは、世の中がとどこおりなく動くようにするためにあるので、政治家ではなくても政治に関わっていることになるのです。

 

良い世の中を作るにはひとりひとりの心がけが大切なのですね。

 

親孝行の大切さ

世の中がうまく回るためには親孝行が大切ということを何度も言っています。

 

子夏(しか)、孝をとう。子曰く、色難(かた)し。事あれば弟子(ていし)その労に服し、酒食(しゅし)あれば先生に饌(せん)す。曾(すな)わちこれを以て孝と為すか。

 

「大切なのは何をしてあげるかじゃなくて、にじみ出てくる感情が大事なんです。お年寄りが重たい荷物を持っていたら持ってあげるとか、電車に乗ってきたら席をゆずってあげるとか、美味しい食べ物が出てきたら、先に食べてもらうとか。これはすべて普通のことで、こんなことでは親孝行にはならないんです」。

 

子游(しゆう)、孝を問う。子曰く、今の孝なる者は是れ能(よ)く養うを謂(い)う。犬馬に至るまで、皆な能く養うことあり。敬せずんば何を以て別(わか)たんや。

 

「最近は食事をさせて、家を提供しておけば親孝行ということになっているようですね。そんなのはペットにでもすることなんだから、それだけでは全然ダメです。敬う心がなければ親孝行とは言えませんね」。

 

現代に言われているような厳しい教えです。「厳しい」と感じている時点でダメなんでしょうかね?

 

人の行動を見ればその人の本質がわかる

この教えも2500年たった今でもそのまま通用します。

子曰く、其の以てする所を視、其の由(よ)る所を観、其の案ずるところを察すれば、人焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや。人焉んぞ廋さんや。

「その人を知りたければ、

  • 何をしているかじっくり見る。
  • なぜそんなことをするのか考える。
  • やったことのどこに満足しているかを見極める。

これでその人のことは丸わかりです」。

 

温故知新

「温故知新*2」は論語から来ていたんですね。

孔子

「昔のことを調べるなんて誰にだってできるんだから、その学びを生かして今に役に立つことを考えなくてはいけません。それができてこその先生です」。

と、厳しめに言っています。

 

子曰く、故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知れば、以て師と為るべし。

 

自分の頭で考える

 

子曰く、君子*3は器ならず。

 

「あなたたちは何も考えないで、誰かに使われるだけの人ではないのです。道具ではなく人間なのですから、自分の頭で考えましょう」。

あたり前のようですが、これがいちばん難しい気がします。孔子がいうレベルで自分の頭で考えることができている人って全人類の1%もいない。考える、って勇気のいることですよね。本当に。

 

知識ばかりではダメ

知識人にとって一番大切なことはなんですか?という質問に、

「知識人は考えることは得意なんだからまずは行動することです。行動しながら考えればいいんです。とにかく行動です」。

と答えています。もはや陳腐化してしまった。言い回しだと思っていましたが、それもそのはず。2500年も前からいわれ続けてきたからだったんですね。

子貢(しこう)、君子を問う。子曰く、先(ま)ず行え。其の言は而(しか)る後にこれに従う。

 

義を見てせざるは勇無きなりの本当の意味 

「義を見てせざるは勇無きなり」は”人としてなすべきことと知りながら、それを実行しないのは勇気がないからである。”

という意味ですが、本来はちょっと違います。

 

子曰く、其の鬼(き)に非(あら)ずして之をまつるは諂(へつら)いなり。義を見て為さざるは勇なきなり。

 

 「みなさんの家では、仏さまやご先祖さまを祭ってますよね?それはいいんですけど、それ以外のものを祭っているのは考えものです。それって自分の利益のためのものではないですか?

一度そういう考え方になってしまうと抜け出すのはむずかしいですよ。

おかしなものを祭っていることに気付いたら辞める勇気を忘れないでください」。

これが論語での「義を見てせざるは勇無きなり」です。かなり話が転がっています。

 

 

以上、論語の「学而」の好きな部分をまとめました。 やっぱり難易度たかめ(ぼくにとっては)な教えがたくさんでした。

 

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一億三千万人のための『論語』教室 (河出新書)

一億三千万人のための『論語』教室 (河出新書)

 

 

*1:1951年生まれ。81年、『さようなら、ギャングたち』で群像新人賞長篇小説賞を受賞しデビュー。三島賞伊藤整文学賞谷崎潤一郎賞他各賞を受賞。著書多数。(刊行時)

*2:過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくこと。

*3:論語には「君子」という言葉がよく出てくるのですが、君子とは理想的人格という意味です。