次の一万円札の顔となる渋沢栄一の著書に「論語と算盤」というものがあります。その論語をわかりやすく解説しているのが本書『一億三千万人のための『論語』教室』です。論語は約2500年前に貧困、疫病、飢饉に苦しむ人々の心を救いたい、というモチベーションで書かれた書物です。現代語訳されると2500年前に言われていることはほとんどそのまま現在でも通用することがよくわかります。心の持ち方、考え方。学ぶべきことが多いです。と、同時に2500年のあいだに人間の心は進歩していないのか。という気にもさせられてしまう一冊です。
著者
孔子はどんな人だったのでしょうか?弟子の子貢*2が言うには、
子貢(しこう)曰く、夫子は温良恭倹譲(おんりょうきょうけんじょう)にして以て之を得たり。夫子の之を元飯屋、其れこれ、人の之を求ると異なるか。
「先生はいつも笑顔で、優しくて、さっぱりしていて、偉そうにしない。どこの国に行っても政治の相談をされるが、その国の政治を動かしてみたいという野心家がやるようなことはしない」
だそうです。
優しくて、ものすごく頭がいいのにそれを鼻にかけたりはしない。めちゃくちゃかっこいい。
論語とはどんなものか?
「論語」は今から約2500年前のありがた〜い本です。孔子と弟子たちとの問答を集録した書物です。孔子本人が記したわけではなく、孔子の死後、弟子たちが編纂しました。キリスト教の新約聖書みたいですね。新約聖書よりもずっと古いですけど。
修行中の心構え
子曰く弟子(ていし)、入りては則(すなわ)ち孝(こう)、出でては則ち悌(てい)、謹みて信あり、汎(ひろ)く衆を愛して仁に親しみ、行って余力あれば則ち以て文(ぶん)を学べ。
まとめると、
- 親を大切にして社会人になったら役に立つ人間になれ
- 仲良くするなら真面目な人と
- その上で余裕があったら勉強をしてください。勉強ばかりしていてもろくな人間にはならない。
ということです。「孝」とは親を大切にすることなんですよね。「孝」に関する話はよく出てきます。
「孝」とはどんなものなのか?
子曰く、父在(いま)すときは其の志(こころざし)を観、父没すれば其の行(おこない)を観る。三年父の道を改むることなし。孝と謂うべきなり。
孝は
・父が生きている間は父の言う通りにする
・父が死んだら、生きているときに何をしていたか、どんな人だったかを思い出す
・その上で3年間は父が生きていたらやっていたであろうことをする。
孔子は孝とはこういうものですよ。といっています。
有子曰く、礼をこれ用うるには、和を貴しと為す。先王の道も斯(これ)を美と為せり。小大に之に由(よ)らば行われざる所あればなり。和を知りて和するも、礼を以て之を節せざれば、亦行うべからざるなり。
「礼」ルールのこと。
ルールは最小で二人から。最大国単位まで大小様々です。でもルールは運用がむずかしい。法律のように文字化されているものもあれば、暗黙の掟のようなものもある。ルールで縛りすぎるとどうしても破綻する部分が出てくる。そこでいにしえの王たちは話し合って、「和」を大切にして、政治をしていた。ただし、なんでも話し合いばかりで解決していたらルールがナアナアになってしまいます。「礼」と「和」のバランスが重要ということです。
ちなみに、聖徳太子の十七条憲法の「和を以って貴しと為す」は論語からの引用です。
「仁」は人を思いやる気持ち。
「仁」は論語が一番大切にしている教えで、論語全499節のうち、58節に出てきます。
「仁」は人を思いやる気持ちです。いわゆるヒューマニズム*3です。
以上、論語の「学而」の好きな部分をまとめました。
なんと、『一億三千万人のための「論語」教室』は、noteで10月下旬頃まで無料掲載中です。ものすごい太っ腹。このチャンスにぜひチェックしてみてください。