『河童：どうかkappaと発音してください。』のあらすじ
とある精神病院の患者──第二十三号がしゃべる河童の話。
河童の国はリストラがない？！
河童の国ではリストラやストライキなどの騒ぎがありません。それは「職工屠殺法」という法律があるからです。職工屠殺ほうは解雇した職工に有毒ガスで殺し、食用肉にするという法律です。めちゃくちゃ恐ろしいです。
この法律の根拠は餓死したり「自殺したりする手数を国家的に省略している」のだそう。ドン引きする主人公に、河童たちは「人間の国でも第四階級の娘たちが売春婦になっているのと同じじゃないか？」と言います。全然違いますよね。
食えよ、交合せよ、旺盛に生きよ
河童の国にもキリスト教、仏教、モハメット今日、拝火教などいろんな宗教があります。中でも信者が多い宗教は「生活教」です。「生命の樹」を神として祀っていて、教えは「食へよ、交合せよ、旺盛に生きよ」です。つまり「欲望のほしいままに生きよ」ってことですね。カルトな雰囲気たっぷりですね。
河童にとって「カエル」は人非人
河童はとても繊細な生き物らしく、人間よりも遥かに気にしいです。少しのことでもものすごく思い悩みます。その河童の繊細さを際立たせるのは死刑の方法です。絞首刑や電気刑などもあるようですが、「犯罪名を言って聞かせる」という方法があります。「お前は犯罪者だ」と言われるとそれを気にして、死んでしまうのです。めちゃくちゃ繊細です。これを殺人の方法にも使えるということなので、河童は簡単に死んでしまうのです。
河童の特徴
- 頭に短い毛がある
- 手足に水かきがついている
- 身長は1メートルくらい
- 体重は9〜14kg食らい、まれに20kg超えの大河童もいる
- 頭の真ん中に楕円形の皿がある、年をとるごとに固くなっていく
- 皮膚の色はカメレオンのように周囲の色と同じに変わる
- カンガルーのように腹に袋がある
- 皮下脂肪が厚く、寒さに強い
- 全裸
登場する河童たち
バッグ：主人公が最初に見つけた河童。漁師。
ラップ：学生
トック：詩人、自由恋愛家。自殺してしまう。
チャック：医者
マッグ：哲学者
クラバック：作曲家
ゲエル：ガラス会社の社長。金持ち
ペッグ：裁判官
ロッペ：政治家
クイクイ：新聞社社長（新聞社の名前はプウフウ新聞）
ロック：音楽家
精神病患者、第二十三号の話を通して、芥川龍之介の河童の世界を堪能できます。河童の世界は人間の世界と似ているようで、似ていないし人間の世界を風刺している感じもしていて面白かったです。
